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交通事故で後遺障害が残った場合の対処法 (2025.08.06)
交通事故で大けがを負った後、治療を終えても身体に障害が残る場合があります。
そのような後遺障害は、被害者の生活に深刻な影響を及ぼします。
今回は、交通事故で後遺障害が残ったときに取るべき対処法をわかりやすく解説します。
後遺障害とは何か
後遺障害とは、治療を続けても回復せず、身体や精神に残る障害です。
後遺障害と後遺症の違い
まず、「後遺症」と「後遺障害」は別物です。
後遺症とは、ケガや病気が治った後も体に残る症状全般を指す一般的な言葉です。
一方で後遺障害とは、自賠責保険の制度において正式に定められた「後遺症のうち、損害賠償の対象となる障害」を意味します。
後遺障害として認めてもらうためには、症状固定の判断や診断書、正確な申請手続きが不可欠です。
等級は1級から14級まで
後遺障害には1級から14級までの等級があり、等級によって補償額が大きく異なります。
● 1級:日常生活において常時介護が必要な重度障害
● 14級:軽度な運動障害やしびれなど
1級は最も重度な障害です。
「両目の視力を完全に失った」「両腕(両足)をまったく使えなくなった」などの症状が該当します。
14級は、後遺障害では比較的軽度な部類ですが、それでも日常生活に大きな影響があります。
たとえば「片目の一部に傷が残り、見た目に違和感がある」「軽い神経の異常が残っている」などの症状です。
認定された等級が高いほど、後遺障害慰謝料や逸失利益の額も大きくなります。
後遺障害が残ったときの具体的な対処法
後遺障害が残ったときの具体的な対処法は、以下の通りです。
● 医師による症状固定の判断を受ける
● 後遺障害診断書を作成してもらう
● 後遺障害等級認定を申請する
● 等級に納得できない場合は異議申立てをする
それぞれ確認していきましょう。
医師による症状固定の判断を受ける
後遺障害の手続きは、医師による症状固定の判断から始まります。
症状固定とは、治療がある程度進み、「症状がこれ以上改善しない」と判断された段階を指す言葉です。
症状固定の診断は、後遺障害の認定や損害賠償請求の土台となります。
後遺障害診断書を作成してもらう
症状固定後は、主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらいます。
診断書を作成してもらうのにかかる費用は、数千円から1万円程度です。
病院側が自由に料金を設定できるため、場合によっては数万円かかる場合もあります。
記載内容によって等級認定の結果が大きく変わるため、専門的な知識を持った医師の協力が欠かせません。
後遺障害等級認定を申請する
後遺障害等級認定の申請方法は、以下の2つです。
● 加害者側の保険会社を通じて行う「事前認定」
● 自分で資料をそろえて申請する「被害者請求」
事前認定は、保険会社が診断書や資料を集めてくれるため、比較的スムーズに進みます。
ただし提出される情報が不十分な場合や、等級認定に不利な内容になるケースもあります。
被害者が内容を把握できないまま手続きが終わる可能性もあるため、注意が必要です。
一方で被害者請求は、被害者自身(または代理人)が必要書類をそろえて、自賠責保険に対して直接申請を行う方法です。
手間はかかりますが、自分で証拠を整えて提出できるため、納得のいく認定結果を得やすいと方法とされています。
等級に納得できない場合は異議申立てをする
場合によっては、後遺障害として認定されなかったり、認定されても自分が想定した等級より低かったりする場合があります。
認定された等級に納得がいかなければ、「異議申し立て」が可能です。
追加資料(診断書・検査結果など)を提出したり、書類の不備などの訂正をしたりすれば、異議申し立てが認められる可能性があります。
異議申立てには期限がないため、再認定を目指す準備期間を設けるのもよいでしょう。
後遺障害に対する損害賠償の内容
後遺障害が認定されると、以下のような損害賠償が請求対象になります。
● 後遺障害慰謝料
● 逸失利益
● 将来介護費
それぞれ確認していきましょう。
後遺障害慰謝料
後遺障害により受けた精神的苦痛に対する賠償金です。
自賠責保険では等級ごとに金額が決まっています。
逸失利益
後遺障害によって労働能力が下がり、「将来的に得られるはずだった収入が減ること」への補償です。
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数
上記の式で計算されます。
将来介護費
重度の後遺障害で介護が必要となる場合は、将来の介護費用も損害賠償の対象となります。
専門家の試算をもとに、介護の頻度・内容・年数に応じた賠償額が算出されます。
弁護士に相談するメリット
弁護士に相談するメリットは、以下の3つです。
● 等級認定のサポート
● 損害賠償額の交渉
● 示談交渉や訴訟対応
それぞれ確認していきましょう。
等級認定のサポート
まずは、等級認定のサポートです。
弁護士が関与すれば、後遺障害の認定に必要な証拠の収集や診断書の内容確認、申請書類の整備をスムーズに進められます。
損害賠償額の交渉
加害者側の保険会社は、自社に有利な基準で金額を提示してくる可能性があります。
弁護士が介入すれば、適正な基準での損害賠償交渉ができます。
示談交渉や訴訟対応
話し合いで解決しない場合には、訴訟を見据えた対応が必要です。
弁護士に依頼すれば、万が一の訴訟にもスムーズに対応できます。
まとめ
交通事故で後遺障害が残った場合は、まず医師の診断を受け、症状固定後に適切な診断書を作成してもらうのが重要です。
それから後遺障害等級の認定を申請し、慰謝料や逸失利益などの損害賠償請求を行います。
不安がある場合には、弁護士などの専門家に相談してください。