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交通事故で請求できる慰謝料の種類とは? (2025.10.03)
交通事故に遭った被害者は、けがや後遺症による苦しみだけでなく、大きな精神的苦痛を負うことも少なくありません。
こうした精神的苦痛に対しては「慰謝料」を請求することができますが、その種類や算定方法にはいくつかの基準が存在します。
この記事では、交通事故で請求できる慰謝料の種類や基準について解説します。
交通事故で請求できる慰謝料の種類
交通事故によって被害者が精神的苦痛を受けた場合、その損害を金銭で補うために慰謝料が請求できます。
慰謝料には、治療期間中の精神的苦痛に対する「入通院慰謝料」、後遺障害が残った場合の「後遺障害慰謝料」、被害者が亡くなった場合の「死亡慰謝料」があります。
また事故の状況や被害の程度により、適切な慰謝料額は異なります。
入通院慰謝料
入通院慰謝料とは、交通事故によってけがを負い、病院への通院や入院を余儀なくされたことによる精神的苦痛を金銭で補うものです。
精神的苦痛の大きさは、人それぞれで異なるため、日数や期間に応じて慰謝料の金額が算定され、通院頻度や治療の内容も考慮されます。
たとえば、軽傷で短期間の通院であっても一定額の慰謝料が認められる場合があります。
逆に、長期入院を必要とした場合は、それに応じて高額となる傾向があります。
後遺障害慰謝料
後遺障害慰謝料とは、交通事故によって完治しない後遺症が残ってしまった被害者に対して、その精神的苦痛を補償する目的で支払われる慰謝料です。
後遺障害の等級に応じて金額が定められており、1級が最も重く、14級が最も軽い等級です。
たとえば、神経系統に深刻な障害が生じた場合や、視力・聴力などに重大な支障が出た場合は高額な慰謝料が認められることがあります。
また、労働能力の喪失割合なども判断材料になります。
死亡慰謝料
交通事故で被害者が亡くなった場合には、死亡慰謝料が遺族に支払われます。
これは被害者自身が受けた精神的苦痛と、遺族が受けた喪失感に対する慰謝料です。
請求できる遺族の範囲は、配偶者や子ども、両親などに限られます。
金額は家族構成や年齢などの被害者の属性によって異なりますが、一定の相場があり、裁判ではその基準をもとに算定されるのが一般的です。
慰謝料の算定基準の種類
交通事故の慰謝料を算定する際には、主に「自賠責基準」・「任意保険基準」・「弁護士基準」の3つの算定方法が用いられます。
どの基準を採用するかによって、請求できる慰謝料の金額が大きく変わるため、基準の違いを理解することが重要です。
被害者側はできるだけ慰謝料額が高くなる基準を採用し、加害者側は逆に慰謝料額が低くなる基準を採用します。
ここからは、それぞれの基準の違いについて解説していきたいと思います。
自賠責基準
自賠責基準は、自動車損害賠償責任保険によって定められた最低限の補償を提供する基準です。
国が定めた統一的な金額が適用されるため、簡便かつ確実ですが、支払限度額が低く、被害者の実際の苦痛に見合わない場合があります。
たとえば、入通院慰謝料や治療関係費などの傷害分の費目では120万円が上限になります。
任意保険基準
任意保険基準は、加害者側が加入している任意保険会社が独自に設けている支払基準です。
自賠責基準と同程度、またはやや高いことが多く、弁護士基準よりは低いです。
示談交渉で加害者側が提示してくる金額は、この任意保険基準の金額にあたります。
被害者が自分で交渉する場合、この基準をもとに慰謝料を提示されるケースが多くなります。
弁護士基準
弁護士基準は、過去の判例などをもとに裁判所が認定する基準です。
3つの基準の中では最も高額な金額が算定される可能性があるため、被害者の精神的苦痛や事故の重大性をより適切に評価してもらいたい場合に選ばれます。
目安として、弁護士基準で算出された慰謝料額は、自賠責基準や任意保険基準の2〜3倍になります。
弁護士に依頼して交渉または訴訟を行うことで、この基準が適用されるようになります。
交通事故で慰謝料以外に請求できる損害
交通事故で発生する損害は慰謝料だけではありません。
被害者は、休業損害、後遺障害による逸失利益などについても加害者に請求することができます。
たとえば、通院のために発生した交通費、仕事を休んだことによる収入減少、将来的に得られたはずの収入が失われた分も損害として認められます。
損害項目を正確に把握し、証拠資料をそろえることが重要です。
まとめ
交通事故で請求できる慰謝料は、入通院・後遺障害・死亡の3つに大別され、それぞれに算定基準があります。
自賠責・任意保険・弁護士基準のどれを選ぶかによって、受け取れる金額が変わるため、適切な判断が求められます。
また、慰謝料のほかにも治療費や休業損害など多様な賠償項目があるため、被害に遭われた場合は専門家に相談し、正当な補償を受けられるようにすることが大切です。
慰謝料請求でお悩みの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。